「万引き家族」

万引き家族

万引き家族

監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、
松岡茉優、池松壮亮
家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、
人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。

カンヌ映画祭において最高賞であるパルムドール賞を今回受賞したことで、どうなのかなあ、と半信半疑で先行上映を見に行った。まず、タイトルと予告映像から、万引きで生計を立てている家族であることはわかるが、どうよ? と斜に構えていた。

 

 しかし、見終わった感想は、斜に構えていたのではなく、社会の闇や苦しみ、社会の呻き声と表現するのがいいのだろうか、それと自分は関わらないように、そして自分にはどうすることもできない、という態度で蓋をしてきたことが良く分かった。

 

 世間的な善し悪しで言うと、万引きはもってのほかだ。誘拐も然り。犯罪である。是枝裕和監督はこの映画で善悪を説きたかったのではなく、見ているものに疑問を投げかけているのだと思う。そもそも善悪とは何か? 見て見ぬふりができなかった結果が招く悲劇(犯罪者となってしまう)は誰もが釈然としないはず。その子の行く末を考えると、つい先日起きた目黒区の悲しい虐待死と重なってしまう。なんとかならないのだろうか。

 

 だから見終わっても「ああ、スッキリした」にはならない。むしろ「うーん」と考え込む。しかし、その家族に学校に行かず万引きを繰り返していた息子が反乱を起こす。このままでは何も変わらないと感じていたのかもしれない。見る者にとって、彼の存在がこの先なんとかしてくれるかも、と期待してしまう(でも何も変わらないだろうけど)。

 

 日本社会の呻き声、不条理、矛盾を見事に描いたこの作品がパルムドール賞を受賞したことで日本人、いや世界中の人々の心に静かな波紋を生み、余韻を残すことは間違いない。

山崎二三代

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